介護職で働く中で「連休がなかなか取れない」「夜勤明けにすぐ日勤で、体力的に辛い」と感じている方は少なくありません。
シフトの都合や人手不足で思うように休めない現場も多く、「自分の職場はブラックなのでは?」と不安に思っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、介護職の連休事情や年間休日数、希望休や5連休の取得方法まで詳しく解説します。
働きやすさを求める方へ向けて、介護職員が休みや連休がきちんと取れる職場の探し方やポイントも紹介します。
介護職の連休は取れる?

介護職は24時間体制でサービスを提供する施設も多く、土日祝日が固定で休める業種ではありません。
そのため、カレンダー通りの長期休暇は難しいと感じる人も少なくありません。
しかし、職場の人員配置や休暇制度によっては、3連休や5連休を取得できる可能性もあります。
ここでは、介護職が「連休ない」と感じやすい理由と、3連休や5連休の現実的な取得条件について整理します。
介護職は「連休がない」と感じやすい理由
- 24時間稼働の勤務形態:入所型施設では、日勤・夜勤を含むシフト制が基本で、週末や祝日も勤務になることが多いです。
- 人員不足による調整の難しさ:常に最低限の人員で運営されている現場では、連続して休むと代替要員の確保が難しい場合があります。
- 行事やレクリエーションのスケジュール:季節行事や家族会などのイベントに職員が参加する必要があり、休暇が制限されることもあります。
- 夜勤明けを休日とカウント:一部施設では夜勤明けの日を休みとして扱い、実際の休養時間が短くなるケースもあります。
関連ページ:介護職で連勤がつらい時の対処法!連勤になる原因や辞めたいと感じた時の行動を解説
3連休は現実的、5連休は「職場のルールと人員次第」
3連休は、公休と有給休暇を組み合わせることで比較的取りやすくなります。
例えば、公休の前後に有給を配置することで、負担を最小限にしながら連休を実現できます。
一方で5連休以上になると、施設の方針や人員配置が大きく影響します。
近年は人材定着を目的に「リフレッシュ休暇制度」や「長期休暇制度」を導入する法人も増えており、このような制度がある職場では5連休も可能です。
介護業界でも年1回程度の長期休暇制度を設けている事業所は存在しますが、少数派です。取得実績が職場内であるかどうか、事前に確認しておくことが重要です。
夜勤前後の休みを上手に組み合わせることで、実質的に長期休暇を作る方法もあります。
データで見る「年間休日数」と「有給」
介護職の休日や有給の取りやすさは、職場によって大きく異なります。
業界全体の水準や法律で定められたルールを知っておくことで、自分の職場が休暇面で恵まれているかどうかを客観的に判断できます。
ここでは、全産業と医療・福祉業界の年間休日数、有給休暇の基本ルール、介護職の有給取得率について整理したいと思います。
医療・福祉業界の年間休日数
厚生労働省「平成30年就労条件総合調査の概況」によると、医療・福祉業界の労働者全体の平均年間休日数は111.5日となっています。
一方、令和6年就労条件総合調査では、労働者全体の年間休日数(労働者1人平均)は116.4日と報告されており、医療・福祉業界は全体平均よりも約5日少ない状況です。
他業界との比較
- 全体平均(令和6年):116.4日
- 医療・福祉(平成30年):111.5日
- 情報通信業:118.8日
- 宿泊業・飲食サービス業:97.1日
- 製造業:111.4日
この数字を見ると、医療・福祉業界が特別に休日が少ないわけではなく、他の多くの業界と同程度の水準であることが分かります。特に宿泊業・飲食サービス業(97.1日)と比較すると、医療・福祉業界の方が年間休日数は多いといえます。
連休が取りにくい理由
年間休日数だけで見ると医療・福祉業界は極端に少ないわけではありませんが、連休が取りにくい理由は以下にあります:
- 24時間365日体制:入所系施設では利用者の生活を支える必要がある
- 人手不足:スタッフ数に余裕がなく、交代要員の確保が困難
- シフト制勤務:土日祝日に関係なく勤務が必要
つまり、年間の総休日数は他業界と大きく変わらないものの、休日の取り方に制約があるのが介護職の特徴と言えるでしょう。
有給休暇の「年5日」取得義務のポイント

労働基準法の改正により、2019年4月から全ての企業は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年5日は必ず取得させることが義務化されました(労基法第39条)。
これは介護業界にも適用されており、職場環境によっては、最低限の休暇確保は法的に保証されています。とはいえ、実際の運用では「希望日が通らない」「繁忙期は取りにくい」といった声もあり、義務化によって連休取得がすぐに容易になるわけではありません。
また、介護職の場合、急な体調不良や家族の都合で有給を使用することも多いため、年5日の義務取得分とは別に、ある程度の日数を確保しておくことをおすすめします。
介護職の有給取得率の現状と職位差(最新調査の要点)
同じく令和6年就労条件総合調査によると、医療・福祉業界の有給休暇の状況は以下の通りです。 労働者1人当たりの平均付与日数は16.4日、平均取得日数は11.0日、取得率は66.8%となっています。
この取得率66.8%は、全産業平均の65.3%を上回っており、介護業界の有給取得環境は決して悪くない状況です。 他業種との比較では、宿泊業・飲食サービス業が51.0%と最も低く、鉱業・採石業・砂利採取業が71.5%と最も高い取得率となっています。
興味深いのは、医療・福祉業界の取得率が製造業(70.4%)や情報通信業(67.1%)と同程度の水準を保っていることです。 これは、介護業界においても働き方改革の取り組みが着実に進んでいることを示しています。
施設規模による違いも見られ、規模が大きい施設ほど有給取得率が高い傾向があります。 1,000人以上の大規模事業所では取得率が67.0%となる一方、30〜99人の小規模事業所では63.7%にとどまっています。
これらのデータから、介護職においても適切な休暇取得は可能であり、職場選びの際は施設の規模や方針を確認することが重要だとわかります。
基礎知識|公休・有給・希望休の違い

介護職のシフト表には、公休・有給・希望休といったさまざまな休暇が記載されますが、それぞれ意味や扱いが異なります。違いを理解しておくことで、休暇の申請や連休の計画が立てやすくなります。ここでは基本的な用語の整理と、就業規則で確認すべきポイント、さらに夜勤明けと休日の関係について解説します。
用語の整理と就業規則の確認ポイント
- 公休:就業規則や勤務カレンダーであらかじめ定められている休日。例として、週休2日制での固定休やシフト制の指定休日がある。
- 有給休暇:労働基準法で定められた、賃金が支払われる休暇。勤務年数と出勤率に応じて付与される。
- 希望休:従業員が希望して申請する休み。法律上の定義はなく、採用の有無や上限は会社ごとに異なる。
- 振替休・代休:休日に勤務した場合に、別日に休暇を与える制度。振替休は事前に休日を移動するもので、代休は事後に休む形。
- 就業規則で確認すべき項目:希望休の上限日数、有給の申請期限、休日の定義、公休の設定方法など。
関連ページ:介護職の希望休とは?申請方法や通らない時の対処法を解説
夜勤明けと「休日」の考え方(よくある誤解)
夜勤明けは、勤務時間が午前中で終わっても、その日は労働日としてカウントされるのが基本です。したがって、夜勤明けを休日と誤解してしまうと、実際の休養日数より多く休めていると錯覚する恐れがあります。
- 例:夜勤明け(労働日)+翌日公休=1日の休み
- 例:夜勤明け+翌日公休+翌々日公休=実質2連休
職場によっては、夜勤明け当日を「休み」と表示する場合がありますが、体力回復や私生活の計画を考えるうえでは実際の休日と区別して考えることが大切です。
連休・希望休をうまく取得するためのポイント
介護職でも、希望休や有給休暇を上手に組み合わせれば、3連休や5連休などのまとまった休暇を取ることは可能です。ここでは、具体的な組み合わせ方法やシフト調整の工夫、さらに職場選びの視点を紹介します。
希望休・有給休暇を組み合わせた連休取得法
- 公休の前後に有給休暇を配置することで、連休を作りやすくなる
- 例:公休+有給+公休=3連休、公休+有給+有給+公休=4連休
- 夜勤前後を活用すると、実質的な休みが延びやすい(夜勤明け+公休+有給)
- 繁忙期やイベント期間を避けて申請することで承認率が上がる
関連ページ:介護職で希望休が取れないときの対処法
シフト調整・同僚との協力
- 同僚とあらかじめ休み希望を共有し、重複を避ける
- 休暇を交代制にして公平感を保つ
- シフト交換を活用して連休を確保する
- 早めに上司に相談し、代替要員の確保に協力する姿勢を見せる
連休が取りやすい職場の見極め方
- 求人票やホームページに「夏季休暇」「年末年始休暇」「リフレッシュ休暇」といった制度が明記されているかを確認
- 求人票や会社説明で、連続休暇制度の有無を確認
- 有給取得率が高い職場は、連休も取りやすい傾向がある
- 勤務シフトの人数に余裕があるかどうかが重要(欠員時のフォロー体制を含む)
連休が取りやすい職場の見分け方
連休を取りやすい職場かどうかは、求人票や施設形態、運営体制などからある程度判断できます。
ここでは、事前に確認すべき項目や施設形態別の傾向、面接時に役立つ質問例を紹介します。
求人票でチェックすべき「年間休日数・希望休上限・連続休暇制度」
- 年間休日数が110日以上あれば、比較的休みが確保されやすい
- 希望休の上限日数(例:月2日まで)や申請方法が明記されているか確認
- 「リフレッシュ休暇」「5連休制度」など連続休暇制度の記載があるか
施設形態・規模別の傾向(デイサービス/入所系/小規模・大規模)
- デイサービス:土日休みや固定休の傾向が強く、暦通りの連休を取りやすい。
- 入所系施設:シフト制で連休はやや取りにくいが、夜勤明けや有給を組み合わせれば可能
- 小規模施設:人員不足で休み調整が難しいことも多い
- 大規模施設:代替要員が確保しやすく、休暇制度が整備されているケースが多い
求人情報でチェックすべき項目
- 有給休暇の取得率(高いほど連休も取りやすい)
- 残業時間や残業削減の取り組み状況
- 代替要員確保の仕組み
- 離職率や定着率(人員の余裕を推測できる)
面接時に確認したい質問例
- 「これまでに5連休を取得した職員はいますか?」
- 「有給の消化率はどのくらいですか?」
- 「繁忙期でも希望休は取れますか?」
- 「連休制度や夏季休暇制度はありますか?」
よくある質問(Q&A)
GW・お盆・年末年始の連休は取れる?
入所系施設では、年末年始やお盆も利用者へのサービス提供が必要なため、長期休暇を取るのは難しい場合があります。
ただし、デイサービスや訪問介護では事業所が休業する期間があるため、この時期に連休を取りやすい傾向があります。
施設によっては、年末年始休暇やお盆休暇として3〜5日間の特別休暇を設定している場合もあります。
子育て・介護と連休の両立のコツ
- 学校行事や家族の予定に合わせて早めに希望休を申請する
- 配偶者や家族と休みの計画を共有し、調整を優先する
- 繁忙期や人員不足の時期を避け、申請承認率を高める
- 在宅介護との両立では、デイサービスやショートステイの活用も検討する
連休後の引き継ぎと事故リスク低減のポイント
- 休み前に業務の進行状況や注意点を引き継ぎメモにまとめる
- 特に入所施設では、利用者の体調変化や服薬管理など重要事項を詳細に共有する
- 連休明けの初日は、優先度の高い業務から取り組み、利用者の安全を確保する
まとめ
介護職は24時間体制や人員配置の関係で、カレンダー通りの長期休暇を取りづらい現場も少なくありません。
しかし、実際には希望休や有給休暇を組み合わせることで3連休や5連休を実現できる職場もあります。
まずは、自分の職場の年間休日数や有給取得率、希望休の上限などを把握することが大切です。
また、求人票や面接で連続休暇制度や休暇の取りやすさを確認することで、働きやすい環境を見極めやすくなります。
デイサービスなど施設形態によっても連休取得のしやすさは異なるため、自分のライフスタイルに合った職場選びが重要です。
今の職場で改善できる工夫を試すと同時に、どうしても連休が取れない環境であれば、休暇制度が充実した職場への転職も視野に入れましょう。
働きやすい環境を手に入れることで、心身のリフレッシュや仕事の質向上にもつながり、介護職として長く働きやすくなります。
心身に負担の大きな介護職は、やはり休みはとても大切だと思います。
関連ページ:介護職で休みが取れる職場の探し方とポイント